王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-


 四つ葉のクローバーを二つ手に取って見せると、アルフレッドは何故か苦々し気な表情をしていた。
「そんなもの、葉っぱが四枚あるだけだろう。どこがいいんだ」

「あら、アルフったら、知らないの? クローバーの葉は三枚が普通なのよ。四枚はとーっても珍しくて貴重なの。手に入れるとしあわせになれるわ」

 シルディーヌは帽子のレース飾りに一つ挿し、アルフレッドの髪にも挿した。プラチナブロンドの髪に、緑の葉がよく映える。

 クローバーの冠を作って被せてみたらどうだろう。濃緑の服と合うと思うし、ワイバーンな顔も可愛らしく見えるかもしれない。

 ふとそんなことを考えて、シルディーヌは笑みを零した。

「ふふふ、よく似合うわ」

「冗談だろう」

「あっ、ダメ。乱暴に払わないで」

 アルフレッドが取ってしまったクローバーを、シルディーヌはハンカチを出して丁寧に挟んだ。

「私ね、カメリアたちにアルフの弱点を探られてるって知って、すごく心配したの。命を狙われてるのかな、毒を盛られたりしたらどうしようって」

「心配するな。毒にやられるつもりはない」