大きな木の下に敷物を広げられるところを見つけ、シルディーヌはアルフレッドとともに座った。
湖全体が見渡せる絶好の場所だ。ペペロネとキャンディがボートに乗っている様子がよく見える。
シルディーヌは帽子を脱いでバスケットの上に置き、長い髪を風に晒した。
こうしてアルフレッドと一緒にのんびりしていると、数日前に命の危険に見舞われたことが嘘のように感じる。
「……こんなふうに、水たまりを眺めるのも悪くはないな」
「ええ、来てよかったって思うでしょ? 自然って素晴らしいわ。眺めているだけで心が洗われるもの」
じりじりと、ふたりの間の距離を縮めるアルフレッド。その大きな手が、シルディーヌの華奢な肩をそっと包み込もうとしている。
「いや、俺はお前と……」
「あっ、あれは!」
ふと地面を見たシルディーヌがバッと身を乗り出して両手をつくと、アルフレッドの手がスカッと宙を切った。
そうとは知らないシルディーヌは草を見て目を輝かせている。敷物のそばにクローバーがあるのだ。
「わあ、やっぱり。見て! アルフ、しあわせのクローバーよ! すごい、もうひとつあるわ!」

