答えは決まっている。

こうなることは薄々、気がついていたから。

「ごめん、佐々木さん。俺は廉以外の人を好きにはならないから」

「っ……!」

俺は怖くて好きな人に告れないのに、佐々木さんは凄いな。

それでも、佐々木さんの今の行動は間違っている──と、俺は思う。

だって、恋人がいるのだから別の人を好きになってしまってはどうしようもないじゃないか。

それに、君から廉に告白をしたんだろ?なのに別に人に乗り換えるのか。自分勝手すぎる、と俺は思う。あくまで個人の感想だけど。

「ど、うして…?私が廉くんと付き合っているから?私じゃ黒森くんに相応しくない…?」

「そういうことじゃないんだ」

確かに、恋人がいるのに浮気をしようとしてる君にも問題はあると思う。けど、俺は純粋に女性を好きになることはないだろう。

「死んでも、俺は廉だけを愛すって決めてるんだ。だから他の人を好きになることは絶対にないんだよ」

そう言って俺は微笑んだ。彼女は涙を流した。

静かに涙を流す佐々木さんを見て、どこまでも演技にしか見えないな、と思った。

「じゃあ……」

俺は、そんな佐々木さんから立ち去るように、椅子から立ち上がって店から出た。振り返らずに──