丸一日かけて俺は実家に帰った。

実家に帰ると母はベッドの上で本を読んでいた。

なんだ、元気そうじゃないか……そう思って俺は心底安心した。

「あら。おかえりなさい」

俺の存在に気がついた母は少し驚いた様子だった。

「どうしたの?」

「倒れたって親父から言われたから帰ってきた」

「……アハハ! やぁねぇ、そんな大事じゃないわよ」

「……それでも心配はする」

「あらそう……でも元気よ」

母も若くはない。今年で50歳になる。俺は21歳。29歳差。これが普通か。

そこまで若くないにせよ、倒れるには少し早くないだろうか。俺の気のせいか……?

とりあえず元気そうだ。良かった。

俺は父の元に向かって話を聞くことにした。

「親父」

「おお、帰ったか」

「なんでお袋、倒れたんだよ」

「…………」

ただの過労らしい。まぁ父は全く仕事してないし、母だけが仕事してると疲れるよな。

「とりあえず様子見って病院の先生は言っとた」

「……そうか」

「今のところ、生活するのに問題はないらしい」

「そうか……」

過労ってのはこんなにも深刻なものになるんだな。

「親父。仕事やれよ」

「……だよな……仕事探すか」

「探せ探せ」

そのあとはパソコンで一緒に仕事を探した。俺も仕事を辞めたから仕事を探さなきゃならない。現在、俺は無職だ。かなり問題がある。

さて。簡単に仕事なんて見つけられるのだろうか………