翌日。俺は仕事に専念した。

どうせもう佐々木さんと会うことはない。出て行った時、二度と会わないような気がした。まぁ気がしただけなんだけどな。

今日も明日も仕事に集中して、全てのことを忘れよう。廉のことも、佐々木さんのことも。

そんな生活が一週間、続いた。

たったの一週間だが、ものすごく長かったように思う。

父親から〈母さんが倒れた!お前仕事辞めて、母さんの看病に付き合え〉と連絡があった時は、本当に仕事を辞めた。

さすがに家族か仕事かと言われれば仕事を選ぶ。

そんなわけで実家に帰ることになった。今度はもう二度とマンションに戻ることなんてないと願って──

マンションの管理人さんには饅頭を上げてお礼を言った。喜んでくれたので良かった。