そんなこと最初からわかっている。

廉が俺に恋愛感情がなく、友達だとしか思ってないって知っている。

ずっと見てきたんだ。無駄に見てたわけじゃない。

「……知ってます。ずっと見てるんだから…」

「…ならっ!」

ムキになった佐々木さん。どうしたんだろうか。

座っていたはずの佐々木さんは立ち上がり、俺に言った。

「なら!他の人を探しませんか?私、協力しますから!」

なぜ?

俺はこれから先も、振り向いてもらえないとわかっていても廉が好きでいる。

一途に想い続けるのは重いかもしれないが、俺は廉以外の人を好きなろうとは思わない。

たまに見せてくれる俺だけの笑顔が好きだ。

急にツンとするところも好きだ。

風邪を引くとデレてくるのも、酒に弱いのも、全部大好きだ。

「俺は死んでも廉だけを好きでいる」

俺はまっすぐと佐々木にそう告げた。

「…っ!」

佐々木さんは泣きそうな表情でカバンを取り、走って玄関まで向かい、靴を履き、雑に扉を開け、出て行った。

なんか可哀想だな……関係ないけど。