俺には幼なじみがいた。

名前は夢咲(ゆめさき)廉。

よく俺が拒否ったから残念がる性格で、明るくて誰にでも優しい性格だ。たまにツンデレにもなる。

そして俺の"初恋の人”である。

「何してんだよ、廉」

こんなところで会うなんて高校以来だ。

あの頃は幸せだったなぁ。

「何って……オレ、一人暮らししてないから家族が住んでる家に帰るところだよ」

なんだ、一人暮らししてないのか。

「そーゆー司くんはどうしたの? 一人暮らししてなかったっけ?」

半信半疑に聞いてくる廉。俺は笑って「里帰りだ」と伝えた。

「たまには帰って来い、ってお袋からメールが来てさ。まぁ暇だったからちょうどいいかな、って思って実家に帰って来たんだよ」

決して、おまえに会えるのを望んでいた訳では無い。会えないと思っていたから、会えて嬉しい。