「それで…今日はどうしたんですか?」

そろそろ本題に入らないと、佐々木さんがずっと俺の家にいるような気がした。

「………お聞きしたいことがありまして」

そう言う佐々木さんは、何か覚悟をしているように見えた。

「なんでしょう……?」

「間違ってたらすみません………でも初めてお会いした時にふと思ってしまったので………黒森くんは廉くんを恋愛として好きなんですか…?」

ば、バレてしまった………!?

「えっと………なぜそう思ったんですか?」

否定できない自分がいた。佐々木さんはどこか嫌な感じだ。

同性愛者のことを気持ち悪く思っているのだろうか。多様性な世の中だ。そう思っている人がいてもおかしくはないだろう。

「そんな気がしたんです。女の勘ってやつですよ」

そう言って笑う佐々木さん。一見すると普通の人だが、何かがこの前会った時と違う。

「…それで………いいと思いますよ、廉くんを好きでも。誰にもお話しません。これからも廉くんを好き同士、色々お話しましょうね」

そう言って微笑んだ佐々木さん。とりあえず、否定されなくてよかったなと安堵した。

それよりも、こんなことを確認するためにわざわざ家にやって来たというのか? おかしな人だ。そんなこと電話で済む話ではないだろうか。

その後はずっと廉について語り合った。

佐々木さんは廉の彼女だ。佐々木さんも佐々木さんで、自分の立場を知った方がいい。

俺だって廉が好きだ。願わくば付き合えたらと思う。でもそれが出来ないのだ。佐々木さんは女だから付き合えるだろうが、男である俺は告白なんてしたら一瞬で今までの関係が崩れる。

それは耐えられないほどの苦痛だろう………