「わかりました。六月七日、十一日、二十二日、二十三日、二十九日です」

「……あ、りがとうございます…」

まさか相性のいい誕生日の中に廉の誕生日があるなんて思いもしなかった。

「ふふ、どういたしまして」

とても幸せそうに笑う佐々木さん。何がそんなに幸せなのかわからないが、この笑顔を廉が守りたいとでも思ったのなら、少しだけ共感できるかもしれないと思った。

「それはそうと……廉、遅いな」

「長いですね」

トイレに行って、数分が経過している。男のトイレに、そんなに時間なんてかからなかったように思うのだが。

「あの…電話番号、交換しませんか?」

トイレの方を眺めながら疑問に思っていると、佐々木さんが急にそんなことを言い出した。

不思議に思ったので、「なぜですか?」と聞くと、佐々木さんは少し照れくさそうに話した。

「廉くんのことを話せる人が少なかったので……大学では私、一人なんです。だから廉くんのことを話せる友達がほしいなぁ……って思いまして。ダメですか…?」