「へぇ………」

細かいところまで佐々木さんのことを見ていた。

こんな感じで本命のことは忘れて、佐々木さんと障害を共にするのだろうか。

それはとても幸せなことで喜ばしいこと。友達であり幼なじみである俺は、その幸せを祝福してやらなきゃならない立場。でも心から祝福できなかった。

そこからは色々な質問をした。主に佐々木さんに聞くことが多かった。

本音を言うと、廉と色々な話をしていたいが、目を合わせるだけでも心が痛くなるので話しかけられない。

その点、佐々木さんはとても話しかけやすかった。

こりゃ廉が本命を忘れるための人にとっては相応しいと思った。

「オレちょっとお手洗い行ってくる」

そう言って廉が立ち上がった。俺と佐々木さんは見送った。