廉おすすめのカフェはシンプルな場所だった。

佐々木さんはこういう感じのシンプルな場所が好みなのだろうか。

そして俺好みでもあるな、と思った。

全体的に茶色といった感じで、椅子の色は白。机は焦げ茶色。隅っこには植物が置かれていた。

ふむ。ゴチャゴチャしていなくて居心地がいい。

「何頼む?」

席についてメニュー表を見ながら廉が聞いてきた。

ちなみに席は、俺の目の前に廉がいる。隣には佐々木さんがいて、俺は邪魔な気がした。

「俺は珈琲がいい」

「好きだねぇ、珈琲。渚ちゃんは?」

そりゃ苦味が好きなんだ。砂糖やシロップを入れて甘くした珈琲よりも、苦くて美味しい珈琲がいい。

「私は紅茶がいいな」

「わかった、紅茶ね。オレは何にしようかな……」