「なっ……! 司くんには彼女なんて必要ないでしょ!? 高校の時ずっと独り身だって宣言してたじゃん!」

ふむ。確かにそんなこともあったな。忘れていた。

ムキになる廉を見て、俺は不思議に思いながらもスルーした。

「この三人で何するんだよ」

そう廉に聞くと、廉はドヤ顔で言った。

「お茶するんだよ!」

お茶なんて言葉、女子が使っているのをよく聞くが、まさか男で使っている人がいるとは思わなかったな。

それでも、俺みたいなやつが使うよりかは、廉みたいなやつが使う方が似合ってはいるだろう。

「カフェ行こ。この前、ものすごくいい場所見つけたんだ。渚ちゃんもきっと気に入るよ」

佐々木さんは嬉しそうに「ありがとう」と言った。

本当に廉が好きなんだな。

そう言えば、廉が誰かを呼び捨てにすることって滅多にないな。

廉が佐々木さんをちゃん付けで呼ぶことに疑問を抱いたりはしたものの、いつもの事だと思い忘れることにした。