エヴァンがそう言うと、みんなが安心したような目でフィオナを見つめる。レティシアが「よかった……」と呟く。その目には涙があった。

「フィオナが……フィオナが……人を殺したら、私、フィオナに笑いかけられるのかなって心配で……」

レティシアはそう言いながらフィオナを抱き締める。サルビアたちも目に涙を浮かべていた。

「ご心配おかけして、本当に申し訳ありませんでした」

フィオナは頭を下げ、サルビアたちが呼んだ捜査一課の刑事たちがマーティーたちを拘束し、連行する。その時、マーティーがフィオナを見て呟いた。

「お前は、俺と同じ世界の人間だと信じていたんだがな」

「……エヴァンや皆さんがいる限り、私は道を踏み外しません。道を踏み外しそうになったら、皆さんが止めてくれますから」

彼を許せる日は永遠にやって来ないだろう。しかし、フィオナはもう絶望に染まった過去ばかりに目を向けるのはやめようと涙を拭う。絶望ばかりの過去ではなく、幸せな今を、未来を歩いて行きたい。

事件はようやく幕を閉じた。