「幼なじみだから、助けるんじゃないよ。フィオナのことが好きだから。フィオナの全てを守りたいから、ここに来たんだよ」

エヴァンがフィオナを離す。その目は真剣で、それでも目の奥に熱が込められていて、フィオナは「愛してる」と言われたあの時のことを思い出した。温かい波が押し寄せ、胸が温かくなっていく。刹那、フィオナの唇に優しいものが触れた。エヴァンにキスをされているのだ。

「ずっと好きなんだよ。フィオナのことが、世界で一番大好きなんだ」

何度も唇を重ねられ、フィオナの瞳から涙が止まらなくなる。嬉しいのに、幸せなのに泣くなど、生まれて初めてだ。

「止めてくれて、ありがとう」

フィオナは泣きながら言う。エヴァンは優しく微笑んで、その涙を拭ってくれた。

「フィオナ!エヴァン!」

バタバタと足音が響き、二人が振り向くとサルビアたちが走ってくる。そして、周りで気を失っているマフィアたちを見て驚き、足を止める。

「気を失っているだけなので、大丈夫ですよ」