「え、待って、僕のことが好きなの?何で?!僕だよ?!」
「好きだよ、律くんのことが」
「本当に?僕を?何で?」
「どうして信じてくれないの。好きだからしょうがないじゃん」


いつから好きだったの、そう尋ねるとすずちゃんは「秘密」と教えてくれなかった。

最近小悪魔感がより前面に出てきて僕は華麗に踊らされている気がしてならない。むむ、と口を尖らせた僕に彼女はふわりと笑ってくれる。


「嫌だって言っても、もう無理だよ」
「うん。律くんの方こそ、やっぱり無しとかダメだからね」


そんなこと言うわけないじゃん。天地がひっくり返ってもあり得ない。何なら今ここで一筆書いても良い。そう言うと「信じているから別にしなくて良いよ」と返ってくる。はぁ好き。もう無理。好きすぎて辛い。


「ねぇ、すずちゃん」
「うん」
「・・・キスしてもいい?」


恐る恐る、僕は聞いてみた。ストレートに尋ねた質問にすずちゃんは、恥ずかしげに顔を赤らめて僕から目を逸らした。

もう、可愛くてしょうがない。今ここで食べていいと言われたら、僕はもう人目を気にせずとも食べに走るだろう。

ただ、女の子のロマンを考えるなら、聞かずに多少強引にキスしたら良かったかもしれない。そう考えていると、すずちゃんは顔を赤くしたまま、覚悟を決めたかのようにゆっくりと口を開く。