きっと明日の僕は今日の僕より、すずちゃんを好きになっているだろう。

もうこの気持ちは好きや愛だけじゃ足りない。腹の奥底に溜まっていくこの熱量が目を通して、彼女に伝わってしまわないだろうか。

そう思いながら日々を過ごしている間、何度も桔平に「はよ言えよ」と突っ込まれる毎日である。でもこうして毎日のように隣に居ることで、分かったこともある。


「だから、ありがとう。私を助けてくれて」


告白出来ないのは、振られることを怖がっているんじゃない。

この自分でも抑えきれなくなっているほどに高ぶる気持ちを、彼女が全部受け止められるのかが怖かったのだ。


「あの日、ノートを教室に忘れて良かった」
「うん」
「ノートを見つけたのが律くんで、届けてくれたのが律くんで良かった」
「うん」


こんなに自分が臆病だったなんて、桔平に知られたら笑われるだろう。また「臆病を通り越してムッツリ」って罵られるかな。想像すると少し面白くなって笑ってしまう。

でも僕は知っている。何でも受け入れてくれるほどにずずちゃんは懐も寛大だということを。

きっとこの想いを伝えたら、ちゃんと彼女は真剣に受け止めて考えてくれる。

今まで僕が見てきた日高すずという人物は、そんな女の子。可愛くて優しくて謙虚で慈愛に満ちている。そんな1人の女の子なのだ。

「・・・好き」

僕の語彙力が乏しく、結局「好き」だなんて使い古された言葉しか分からない。