「日曜日、空いているから僕も大丈夫だよ」
「了解。どこに行くかは追々考えようね」
「うん。もう楽しみになってきちゃった」
「私も」


これはもう付き合っているも同然じゃないだろうか。休みの日に男女2人で遊び行くってもうこれは確定演出?告白待ちなのか?

そこまで考えて、僕はふるふると首を横に振る。

(いやいや、流石に都合良く解釈しすぎか)

すずちゃんが、ただ優しすぎるだけなのだ。

誰にでも平等に優しくて、誰にでも気を遣えて、誰にでも笑顔を見せる。かといってお人好しでもなく程よい距離感で接することが出来る彼女。

だから、ここまでの信頼を持たれていつ何時も頼られる存在となった。
 

「きっと定期テストまであっという間だよ」
「ちゃんと僕も勉強しなきゃ。日高さんは勉強好き?」
「・・・うーん。そんなに好きじゃないかなぁ」
「そっか。僕もそんなに好きじゃないかな」


でも、そこまでして、すずちゃんは疲れてしまわないだろうか。彼女だって本物の神様ではない。何人もの声が聞き取れる聖徳太子でもない。

周囲の人に優しくしすぎて、自分のことを厳かにしていないだろうか。僕は心配になった。


「でも、お疲れ様会が楽しみすぎて、今は少し好きになったかも」
「あははっ月島くんて結構単純?」
「そうかな。誰でもそうじゃない?」


そう言うと彼女は「私も単純だから、少し勉強頑張る気になったよ」と笑った。

その時、彼女の笑みに違和感を感じたのを、僕は気がつかないフリをしていた。