ファーストソング

夏輝の招待を受け、私は文化祭に来ていた。
もうだいぶやせ細ってしまい、車いすに乗っている。
本当ならちゃんと歩いてきたかったけどいつ発作が出るかわからない。
文化祭にくる許可がでただけでも奇跡なんだ。 これくらい我慢できる。

そうだ。
いつも、いつも我慢してきたじゃないか。

これくらいどうってことない。


「どうだ? ここが俺の学校!」
「夏輝のじゃないでしょ。 通っている学校でしょ」
「そうともいう~」
「そうとしかいいません」
「「っぷ、ははは!」」


久しぶりに会う夏輝とのいつも通りの会話。
気まずくなってたらどうしようかと思ったけど、まったくそんなことなくて一安心。


「ライブ見て帰るんだろ? 病院まで送る!」
「車いすだから車だよ。 だから大丈夫」
「そうか? ならしょうがないな! 寂しいけど」
「私も」
「…」
「…」

「あーっと! 特等席を用意したんだよ! こっちだ!」
「うっわ! 急に方向展開しないでよ!」
「ごめんごめんって!」


そういうと夏輝は車いすのつかむとぎゅんっと方向転換をして進み始めた。
学校の門で両親とは別行動。
多分近くにはいると思う。
でも久しぶりのデートに胸が高鳴った。