三十分ほどまっただろうか?
櫻井先生が目の前を通り過ぎる。
俺はすぐに席を立ち話しかける。
「櫻井先生!」
「ん? 夏輝くん。 どうしたのかな?」
「あの、その、俺、千冬ちゃんを夏祭りに連れていきたいんですけど、それって大丈夫ですか!?」
「夏祭り?」
「はい!」
そう言いながら俺は夏祭りのポスターを指差す。
「あぁ! 毎年やってるお祭りだね。 えっと千冬ちゃんを連れていきたいの?」
「はい! 一緒に花火をみたいです!」
「うーん。 正直”いいよ”とは言いづらいかな」
「え、そうなんですか?」
まさかの言葉に俺は唖然とする。
「一時退院できるほどの体力があるとは思えないし、それに一時退院できる体力があったとしても千冬ちゃんは未成年だからご両親の同意が必要になるんだよ」
「両親の同意…」
「だからまずは千冬ちゃんのご家族に相談してみないとなんとも言えないかな」
「そう、ですか…」
明らかにしょげる俺を横目に櫻井先生はコホンと小さく咳払いする。
「あー、こっからは千冬ちゃんの担当医の独り言なんだけどね」
「え?」
「今日の検査結果を見る限り、千冬ちゃんの容態は安定しているから一時間くらいの外出であれば問題ないかな。誰かがご両親を説得できれば花火を見るくらいならできるかもしれないなぁ」
「っ!!!」
「そうえいば、千冬ちゃんのご両親はいつも日曜日の朝一番に面会されてた気がするなぁ」
「っ!!!櫻井先生、ありがとうございます!!」
俺はそう言うと頭を90度に下げた。
そのまま勢いよく顔を上げると、千冬ちゃんのご両親を説得するために俺ができる精一杯を考えるため病院を後にした。
櫻井先生が目の前を通り過ぎる。
俺はすぐに席を立ち話しかける。
「櫻井先生!」
「ん? 夏輝くん。 どうしたのかな?」
「あの、その、俺、千冬ちゃんを夏祭りに連れていきたいんですけど、それって大丈夫ですか!?」
「夏祭り?」
「はい!」
そう言いながら俺は夏祭りのポスターを指差す。
「あぁ! 毎年やってるお祭りだね。 えっと千冬ちゃんを連れていきたいの?」
「はい! 一緒に花火をみたいです!」
「うーん。 正直”いいよ”とは言いづらいかな」
「え、そうなんですか?」
まさかの言葉に俺は唖然とする。
「一時退院できるほどの体力があるとは思えないし、それに一時退院できる体力があったとしても千冬ちゃんは未成年だからご両親の同意が必要になるんだよ」
「両親の同意…」
「だからまずは千冬ちゃんのご家族に相談してみないとなんとも言えないかな」
「そう、ですか…」
明らかにしょげる俺を横目に櫻井先生はコホンと小さく咳払いする。
「あー、こっからは千冬ちゃんの担当医の独り言なんだけどね」
「え?」
「今日の検査結果を見る限り、千冬ちゃんの容態は安定しているから一時間くらいの外出であれば問題ないかな。誰かがご両親を説得できれば花火を見るくらいならできるかもしれないなぁ」
「っ!!!」
「そうえいば、千冬ちゃんのご両親はいつも日曜日の朝一番に面会されてた気がするなぁ」
「っ!!!櫻井先生、ありがとうございます!!」
俺はそう言うと頭を90度に下げた。
そのまま勢いよく顔を上げると、千冬ちゃんのご両親を説得するために俺ができる精一杯を考えるため病院を後にした。



