「あのー、誰に聞いたんですか。
 美佐江おばあちゃんが作っているのは、交通安全の人形ですが。

 警察から頼まれて、婦人会や老人会で作ってる」

 これですよ、と自分も持っている和紙で作られた姉様人形のようなものを見せる。

 お腹の辺りから、どどん、と交通安全という垂れ幕のようなものを下げている和紙の人形だ。

「なにっ。
 しかし、先鋒隊の兵士が聞いてきたのだ。

 お前の祖母の人形に命を救われたというものが数多くいると!」

「どこで聞いて来たんですか、それ?」

 どうやらデイサービスの施設や碁会所で聞いてきたらしい。

 ……交通事故に遭いかけたときに、持ってた人が何人か居たんだろうな、たまたま。

 お年寄りがよろよろゴン、とよく農協の朝市でぶつけているが、あんな感じだろうかな。

 はなから、大事故には、なりそうにない感じだ。

 人形のご利益かはわからない。

「ともかく、お帰りください」
と微妙に首の傾いたお内裏様に頭を下げてみたが、お内裏様は言ってくる。