もちろん藍斗も藤堂財閥のことは知っている。
そして、その子供達がどんな風に噂をされているかも。
だからこそ何かあるかもしれないということに期待しているんだろう。
藍斗は俺が親に振り回されてるのを見るのが好きだから面白がっているはず。
「まあ、周りは誰も“藤堂華音”がこの学園にいるなんて思わないよな〜。変装させられてるんだし?」
ちょっとだけ残念そうに言う藍斗。
「変装なかったら騒がれるし、色々と面倒だからな」
「可愛いから心配になるしね、颯真くん♪」
言い方に腹が立ち、横目に藍斗を見ると嬉しそう笑顔を向けていた。
…………こいつ……完全に面白がってる。
確かに俺のこういう話はなかなかないから、藍斗的には今いじっておきたいんだろう。

