「分かった。着いて行くけど……」


 私がそう言うとママは立ち上がって私の腕を掴んだ。



「ちょっ、ママ!?」


「それじゃあ行くわよー!」


 そんな掴まなくても逃げたりしないのに!


 びっくりする私を掴みずんずん襖へ向かう。


 隣を見ると私と同じように颯真さんも咲良ママに腕を掴まれている。



「母さん!」


「もうっ、颯真も観念して着いて来て♪」


 颯真さんも咲良ママには勝てないのか、大人しく従うみたい。


 ……はぁ。もう付き合うから…………。



「逃げないから腕離してよー!!!」


 高級和食店に私の叫び声が響き渡った。



 この時の私は、この後起こることが私の人生を変えるなんて何も知らずにいた……───