何だろうな、本当に。
この気持ちに気づきたいような気づきたくないような、そんな矛盾の考えが頭を駆け巡りつつ、いつも通りの会話をしながらご飯を食べ終わる。
「ごちそうさまでしたー!」
「ごちそうさまでした。俺、食器洗っておくから先風呂行ってきたら?」
「本当?じゃあお言葉に甘えて〜」
ありがたいお言葉に甘えて先に行かせてもらおう。
こうやって家事もお互いが自然とその時々で分担しているからあまり負担がないんだよね。
少しだけ浮ついた足取りで食べ終わった食器を流しへと持って行って、もう水を出して洗い始めようとしている颯真へと渡す。
何気なく目に止まった腕まくりをしている姿。
程よく筋肉のついた腕と、綺麗でしなやかな手を見て、さっきのことを思い出し顔が熱くなる。
その顔を見られたらまたからかわれると思って、「お願いします!!」とだけ伝えてすぐにリビングから出ようとした。
その時。
「ごほうびの件、考えておくから」
ニヤリと口角を上げながら言う颯真に、また大きく胸が鳴る。
「…………っ、分かった……」
上手く応えられなくてたったその一言だけを伝えて、早々にお風呂場へと向かう。
その後は颯真と顔を合わせるのが恥ずかしくて、そのままベッドに潜り込んだ。
だけど。
痛いくらいにドキドキ鳴る胸を抑えることは難しくて、その日の夜はなかなか寝付けなかった。

