だけど、思っていたのとは違う反応が見えた。
睨んだ先に見える色素の薄いタレ目が、びっくりしたように大きく開かれている。
そして、心なしか顔が赤いような……。
颯真にしては珍しい表情に、先程までの悔しい気持ちがスっとなくなっていった。
むしろ、初めて見る新しい表情に心が温かくなる。
さっきみたいに知らない大人の人みたいな顔じゃなくて、年相応の飾らない男の子みたいな顔。
笑う時は可愛く子供っぽい感じにはなるんだけど、それ以外の時にこんな表情が見られるなんて思わなかった。
その表情が見たくて顔を覗き込んだけど、大きな手で顔を覆われる。
「ちょっと、颯真!」
「……ご飯、作ってくれたんだろ?食べよっか」
そう言って顔を覆っていた手を外された時にはいつもと同じ感じに戻っていた。
いつも通りすぎてさっきのは幻?って思うくらいに、穏やかに食事が進む。
相変わらず綺麗に食べるし、美味しいって言って黙々と食べてくれる。会話も忘れないし。
王子様キャラじゃないからキラキラ笑顔じゃないけど、素の颯真は意地悪でちょっとぶっきらぼうで。

