6月中旬───



「ついに来たねー!球技大会ー!!」


 そう言ってはしゃいでいるのは、スポーツ大好きな莉奈。


 小柄なのに体育への熱量が凄まじい莉奈は、球技大会の今日までかなり楽しみにしていたらしい。


 だから体育館へと向かう廊下をスキップしそうな勢いで歩いている。


 確かに、高校生になってから初めての行事だから私も地味に楽しみにしてたんだ。


 でも、無駄に目立ったら危険だから気をつけないと。



「藍斗と颯真くんはバスケだし。クラス違うから当たるとしたら決勝でとかめちゃくちゃ楽しみだね!」


「私も。何気に2人がスポーツしてる姿見るの初めてだから楽しみ」


 まだ一緒に住み始めて2週間くらいの時、登下校中の感じでは“パーフェクト王子様”って聞いて、そうだなって思っていたけど、実際どうなのかはまだ分かってない。


 勉強の方もテストが始まらないと本当に上位なのか分からないし、スポーツも今日みたいに大々的な行事がないと万能なのか分からない。


 まあ、人望に関しては言うまでもない。


 つまり今日は颯真が本当に“パーフェクト”なのかを確かめる絶好のチャンス。


 意地悪じゃなくて、ちょっとでもいいところを見てみたい。