「颯真くん?何か面白いことでもあった?」
そう言って、横から丸井が子首を傾げながら見ていた。
何でそんなこと聞くんだって逆に俺が聞きたいくらい、何で聞かれたのか分からない。
俺、変な顔でもしてたか?とか色々考えたけど、平然な顔で答えた。
「ううん。何でもないよ」
「そう?何だか微笑んでる気がしたんだけど、私の気のせいかな」
丸井はそれだけ言うとコーヒーを入れてから自分の席に戻って行った。
…………微笑んでたって……。俺が?
考えていたのは華音のことだった。
嘘だろ……。
俺は少し戸惑いながら丸井に指摘されたことを考えていた。

