「颯真、最近すごく楽しそうだね」
「そうか?」
華音との生活も1ヶ月くらいが経とうとしていたある日の放課後。
藍斗と一緒に5月終わりにある球技大会について話を詰めていた時に、藍斗が唐突にそんなことを言い出した。
別に楽しそうにしてたつもりもねぇんだけど。
藍斗を見ると、綺麗なえくぼを作りながらこっちを見ている。嫌な顔。
「表情が明るくなったなーって思うんだけど、無意識?」
「俺はいつだって良い笑顔振りまいてるけど」
「言ってるのはそんな作り物の笑みじゃないって。素の時の表情」
何のことだか。
そういう意味を込めて藍斗を一目した後、俺はまた仕事に取り掛かる。
俺はさっさと生徒会の仕事を終わらせて帰りたい。放課後まで王子様スタイルを続けるのは面倒だ。
「颯真さぁー……またそんなこと言って「はーい、戻りましたー!」」
また藍斗が何かを言いかけたと同時に生徒会室のドアが元気な声と共に開かれた。

