と、不意にシャツの裾を掴まれた。
もちろん掴んだのは華音。
振り向くと少し上目遣いで見つめてくる華音と目が合う。
「……あ、ありがと…………」
ただそれだけ言うと華音も残りの作業に取り掛かった。
赤くなった顔を隠すように下を向いているけどバレバレ。
華音って、ツンツンしてるくせにたまにこうやって素直になるから見てて飽きない。
そんな華音を見てると自然と俺の口角も上がる。
「ちょっと、何笑ってるの!」
「ふっ。いや、何でも?」
「何でも、なわけないじゃん!もーっ」
プンプン怒りながらも慣れた手つきでパスタを仕上げる。
俺は、そんな何気ない会話や毎日が心地いいなと自然に思っていた。

