「あっ、ザル出すの忘れてた」
俺がサラダとスープ担当で、華音はパスタ担当。
茹で上がったパスタを受けるためのザルを出すのを忘れていたみたいで、キッチンの上の棚を探していた。
華音でもそんなに無理をする高さではなかったと思っていたけど、それは思い違いだった。
────ガチャガチャッ!
金属音がぶつかり合うような大きな音がしたと同時に何個か積まれているボールが落ちてくる。
だけど、間一髪で華音に当たらず止めることが出来た。
「……っぶねぇな。…………大丈夫か?」
華音を見るとびっくりしたまま固まっていた。
本当に大丈夫か?
そう思った俺は華音の顔を覗き込み、もう一度声をかける。
「華音?」
「っ!!だっ、だい、じょうぶ…………。ごめん……」
「大丈夫ならいいけど、今度からは無理せず言えよ。危ないから」
それだけ伝えると俺はまた作業を再開した。

