「颯真が教えてくれてもよかったのに」


 口を尖らせながら不貞腐れたように呟く華音。


 昼、藍斗と莉奈ちゃんに学園で俺達の仲をバレないように手伝って貰っていることを話した。


 もしかしたら「何で教えてくれなかったの!?」って怒られるかと思っていたけど、案外そこは何も怒ることなく、寧ろ感謝していた。


 確かに俺と華音だけじゃこれから先、色々と立ち回りが難しくなってくることもあるだろうから納得してくれたんだと思う。


 学年も違うし、従兄妹(設定)だとしてもあまり近すぎる関係も怪しまれるだろうし。



 と、まあ。ここまではよかった。


 華音が不貞腐れているのは、お似合いカップルである藍斗と莉奈ちゃんのことを教えて貰えてなかったことに対してだった。


 知ってからというもの、本当に羨ましそうに2人を眺めていた。


 みんなが羨ましがるお似合いカップルなのは、2人を見ていたら一目瞭然だ。


 その2人を学園で見れてないから噂も何も知らなかったのは分かるけど。