「颯真くんにこんな可愛い婚約者が出来たの、本当に嬉しいの!2人に華音をよろしくって言われてたけど、それ以上に私が絶対に仲良くなりたくて声かけたんだ」


「莉奈……」


 嬉しくて私はたまらず莉奈に抱きつく。そんな私を嬉しそうに抱き締め返してくれる莉奈。


「私のこと知ってたの?」


「うん!あるパーティーで見たことがあるの。すごく可愛い子いるって噂になってたんだよ」


「可愛いって…………、それ本当に私?」


 私が噂になるなんて絶対にありえないし、私なんかより莉奈の方が可愛いんだけど……。


 疑うように莉奈を見ていると、静かにため息をついて頬をふくらませながら「無自覚ー」って呟いたけど本当に何のこと?


 首を傾げている私を他所に話を莉奈は進める。



「そんな無自覚で鈍感な華音を私が、学園での生活でバレないように藍斗と颯真くんが守るから安心してね!」


「いきなり婚約者がいるって言われて、しかも転校もさせられて大変だったでしょ?初めは難しいかもしれないけど、安心して俺達に頼ってくれたらいいから。……ね、颯真?」


「…………あぁ」


 素っ気ない颯真は置いておいて、莉奈と会長は優しい笑みを浮かべながら私を迎えてくれる。


 それだけで涙が出そうなくらい嬉しい。


 だから私は本当に涙が出ないように少し力を入れてから大きく頷いたのだった。