涙色に「またね」を乗せて


「っていうか、せっかくの夏休みなのに家で宿題漬けとか……。高校生ならもっとこう、海とか夏祭りとか行くもんじゃないの?」


不満を隠さずに呟くと、唯一真面目に勉学に励んでいた穂花ちゃんが、「私も海行きたいなぁ」と賛同を示してくれた。何でも、青森から来た穂花ちゃんはこの東京の暴力的な暑さに、早くも音を上げているらしい。



「そうだよ! 夏といえば海だよ! 祭りだよ! それなのにクーラーの効いた部屋で黙々と宿題なんて、十代の若者がする過ごし方じゃないよ!」



立ち上がって選挙立候補の如く演説し訴えると、パチバチと拍手の音が返ってきた。最近気が付いたことだが、彼女は意外にも遊び関連の誘いに関してのノリがいい。


こうして女子二人の熱烈な説得により、皆で海水浴と夏祭りに行く約束を確約したのだった。