涙色に「またね」を乗せて

事の発端は、数日前に遡る。





「あーもうっ! 全然終わらないんですけど!」



目の前に大量に積み上げられた宿題に、潔く降参の声を上げる。


慌てて片付けた為、整然としているようで元は散らかっていた痕跡が隠し切れていない私の部屋で、四人揃ってちょっとした勉強会を行っていた。

というのも数時間前突然アポ無しで押しかけて、ここで夏休みの宿題をすると言い出したのだ。

後ろで申し訳なさそうに両手を合わせる穂花ちゃんの姿が無ければ、危うく母が玄関先に飾っていたハーバリウムを顔面目がけてぶん投げてしまうところだった。お前ら、穂花ちゃんに感謝しろよ。


そして強引に始まった勉強会だったが、これはもう一種の拷問レベルだった。


宿題が分からないのはいつものことなのだが、ちょっとでもサボろうとすると湊に手を叩かれるし、途中律樹が飽きて私の漫画を勝手に読み漁るし、その所為で湊が持参したビニール紐で縛り上げようとしてちょっとした乱闘騒ぎが起こるしで、さっきからどんどんとストレスが蓄積されていく。なぜ彼がビニール紐を持参していたかというツッコミは、この際気にしないことにした。