涙色に「またね」を乗せて

太陽が、容赦無く地面を照り付ける。


そのカンカン照りの陽射しは当然ながら私達にも直撃し、汗による水分不足を促して、目が霞む程の眩しさを放つ。騒がしい蝉の大合唱も、より暑さを際立たせる要因だろう。

蝉時雨、という言葉がこの日本には存在する。鳴り止まない蝉の声を冬の季語である時雨に例える。

その涼やかかつ風流な心意気には感嘆を示すが、現実はそう甘くない。この暴力的な鳴き声ほ、時雨というより台風レベルだ。

この猛暑に苛立っているのは私だけでは無いらしく、むしろ湊の方が深刻そうだった。斜光が目に染みるのか、ファッションでシャツの襟に引っ掛けていたサングラスを、とうとう装着し始めた。

「やっぱ、その目大変?」


湊の瞳は、日本人には珍しい碧色だ。


東北地方出身の人間は、他と比べて青やヘーゼル色の瞳を持つ割合が多いと聞く。とは言っても、中に茶色が混じっていたりと完全な青を持つ人は少ないらしく、それを考えると湊はかなり稀なケースだ。

碧眼の人はメラニン色素が比較的少なく、その所為で眩しさを感じやすい。本来明るい色の目を持つのはスウェーデンやノルウェーなどの所謂北欧系の人で、そういった人達は直射日光をあまり浴びない環境で生きている為、より陽の光を強く感じられるようになっているのだそうだ。