涙色に「またね」を乗せて

駅前近くの繁華街。ぎらついた看板が雑然と光を放ち、何処かごちゃついた印象を与える。ちょうど帰宅ラッシュの時間帯だからか、他校の制服を着た高校生やサラリーマンのお兄さん達で、辺りはがやがやと賑わっていた。

「ねね。次何処行く?」

多分私の次くらいにこの状況を楽しんでいる穂花ちゃんが、喧騒に負けないように声を上げる。


「打ち上げといえばカラオケでしょ」

「いや、ゲーセンだな」


カラオケ対ゲーセン。もっと分かりやすく言えば、私対律樹の仁義なき戦い。普段はジャンケンで決めているが、どういう風の吹き回しか、意外にも律樹はあっさりと引き下がった。


「赤点スレスレの涙衣が可哀想だから、今回は付き合ってやるよ」


その不器用な物言いに、これは律樹なりの謝罪なのだとすぐに気が付いた。少しくすぐったいけれど、赤点スレスレなのはお前も同じだからな。あんま調子乗るなよ。

「そ、じゃあお言葉に甘えて。そうだ、いい子の律樹君にはお菓子を授けようではないか」

冗談めかして言いながら、ポケットの中から飴を取り出す。