涙色に「またね」を乗せて

無事に始業式と顔合わせが終わり、ようやく今日は解散になった。



待ち望んでいた放課後を存分に活用するべく転入生に話しかけたはいいのだが、何故この二人が着いてくるのだろう。



「さっきはびっくりしただろ? こいつ、いきなり叫び出すからさ」


「いや、そんな……」


「あのさ、否定はしないけどさ、それだと私が危ない奴みたいじゃん」


「まぁ実際そうだよね」


「は?」


失礼極まりない湊に軽く蹴りを入れると、美少女転入生もとい穂花ちゃんがくすりと淑やかに笑みを漏らした。口元にそっと手を添えて。


「三人共、仲良しなんですね」

「いや、仲良しっていうか腐れ縁? 何だかんだで今まで一緒に過ごしてきたからね」


傍から見れば仲のいい幼馴染に見えなくもないのだろうけれど、個人的にはずるずると関係を引きずっている倦怠期カップルの感覚に近い。


「何かいいですね。そういうの」


何処か恍惚としたように、その言葉が紡がれる。