涙色に「またね」を乗せて

「じゃあ、これで伝達は以上っと。学級委員、号令」


「きりーつ、れーい」



さようならー。とさらにやる気のない声で続けられ、これで今日は解散となった。

普段ならちらほらと教室に残って雑談に興じるクラスメート達も、今日ばかりは早々に扉へと向かう。テスト前日ということもあってか、ぴりぴりとした雰囲気が漂っていた。

自宅では集中出来ないと過去の経験が物語っていたので、自宅に帰ろうとはしない。図書室に行こうかとも考えたけれど、同じ考えの人が沢山いるだろうと思い直し、机の上に教材と筆記用具を並べた。


二年生になってからというもの、勉強が一気に難しくなってきた。一年の時も決して簡単ではなかったが、この難易度の上がり様、どう太刀打ちしようというのか。


中学の頃まではそこそこの偏差値はあったのに、調子に乗ってレベルの高い高校を選んで入学してからは、成績はどうにも右肩下がり。単位が心配になってきた。


教科書を開きノートに数式を書き連ね、テスト爆発しないかなと恨めしく思う。ああくそ、手が痛くなってきた。


でも、こうして淡々とテスト勉強をしている間だけは、余計なことを考えずに済むからまぁ気楽だ。穂花ちゃんと湊が仲良くしているのも、律樹の怒りの形相も、このまま忘れていしまいたい。



やがて雨音が弱くなり、ただでさえ暗い教室が夜に近付いてきた頃、集中力がとうとう切れ、疲労がピークに達してしまった。