涙色に「またね」を乗せて

必死の想いが通じたのか、時間が解決してくれたのか、どうにか陽の当たる場所に連れ出すことには成功したけれど、それで全て元通りになる程現実は甘くない。


きっと涙衣もそれを分かっていて、だから絵をやめたのだと思う。


本当は、俺もそうするべきだったのかもしれない。

でも、バスケを捨てたくなんかなかった。

あいつは何の躊躇いもなく捨てられたのに。


自業自得だというのに、俺だけ除け者みたいだった。



罪悪感と劣等感を両脇に抱え、悶々とした葛藤の最中、穂花が転入生として現れた。

その少女は今まで関わったことの無いタイプの子で、頼ることも頼られることも無かった俺にも、当然のように笑いかけてくれた。


それにどれだけ救われたことか。


スーッと荒んだ心が凪いでいく傷跡にもならないこの感情が、奇跡のように消えていく。厳重に動きを封じていた鎖が、粉々になった気さえもした。



だから守りたいと思った。


あの愛らしい笑顔を、ずっと近くで見ていたかった。