涙色に「またね」を乗せて

やがて時が流れ成長し、周囲の物事を正しく理解出来る歳になった頃、あの二人がどういう人間か、今更のように思い知った。


歳の割に大人びていた涙衣は、クラスメートから近所の大人達に至るまで、多くの人に好かれていて、皆事あるごとに涙衣を頼りにしていた。

湊はというと、男らしさには欠けるものの甘え上手で弟気質だった為、周囲から放っておかれることは無く、あいつが困っているといつも何処からか救いの手が差し伸べられていた。


誰からも頼られる涙衣と、誰にでも頼れる湊。



そのどちらにも当てはまらない俺は、一体どうすればいいのだろう。


次第に二人と居る楽しい時間の中に僅かな苦痛が伴って、少しずつその割合が増加していって、見えない隙間のようなものがどんどんと膨らみ広がっていった。


そして小学四年生の時、湊の性格が歪むきっかけとなったあの事件が起きた。

それは当事者でない俺からしてもショックを受けるには充分過ぎる出来事で、塞ぎ込んでいたあいつを涙衣と一緒になって何度も何度も励ました。