「……穂花に謝れ」
最初は、何のことかさっぱり分からなかった。数秒分の間を置いて、あぁあれかと頭の中で手を叩く。
確かにここ最近の穂花ちゃんに対する振る舞いは、友達にすべき態度では無かった。けれど、まさかそれを律樹に指摘されるとは。人生、何が起こるか分からない。
「最近、穂花の様子がおかしかったから、気になって何があったのか訊いてみた。そしたらあいつ、最近お前に避けられている気がするって、知らないうちに悪いことしちゃったんじゃないかって。今にも泣きそうな顔してたよ。優しくしておいて、わざわざ相手が頼りたくなるような真似しておいて、何で傷付けたりなんかしたんだよ」
聞いているのかいないのか。しらばっくれも開き直りもしない私に業を煮やしたのか、律樹の顔が一気に近付き、呼吸が苦しくなる。
思いっきり胸倉を掴まれた。そのことを理解するのには、そんなに時間は掛からなかった。
「お前の所為だっ!!」
鼻先がぶつかり合うんじゃないかって思うくらい近くに律樹の顔が目の前にあって、その剣呑さに息を呑む。
「お前は何でも持ってるんだから、その分だけ人に優しくすりゃあいい話じゃねえかよ! 何でお前も湊も、そうやって中途半端なんだよ! 転校先で友達が出来るか不安で、初対面なのに自分を嫌っている奴が居て、そんな中話しかけてくれた奴が居て! それなのにいきなり訳も分かんねえまま突き放されてっ! それじゃあ、あいつが可哀想だろ……」

