涙色に「またね」を乗せて

「ったく。先生ってば、テスト期間まで掃除当番割り振らなくったっていいじゃん」




ぶつぶつと文句を言いながら、一階の渡り廊下を歩く。両腕に抱えたゴミ箱が邪魔で仕方がない。



全く、か弱い女子高生にこんな重たい物を持たせるなんて、今時の男はどういう神経をしているんだ。欧米にでも行ってレディーファーストを一から学んできて欲しい。



そもそも、ジャンケンで決めたのが間違いだと思う。こういうのは普通、腕力で決めるものだろう。


校舎とは言えど天井と屋根といくつかの柱しかない渡り廊下では、外の空気や気候がすぐに確認出来る。


肌に纒わりつく湿った空気と水っぽい匂いが、後十数分もしないうちに雨が降ってくるとご丁寧に教えてくれる。


やっぱりそう長くは持たなかったかと、垂れこめる暗雲を見上げて一人げんなりした。



雨が降ってこないうちにゴミ箱の中身を焼却炉にバサバサと捨てる。本当はそこで帰りたかったのだが、教室に置き去りにした鞄を思い出し、仕方なく来た道を引き返した。

教室に戻り机の横に掛けていた鞄を引っ掴み、昇降口を通り抜けて学校の敷地外に出る。運のいいことに、雨はまだ降っていなかった。