「化学担当の片桐佑真です。一年間よろしくなー」
イマイチやる気の感じられない挨拶とは裏腹に、黒板に書かれた名前は習字のお手本みたいに整っている。人工的な茶髪と黒縁眼鏡に白衣という真面目なのか不真面目なのかよく分からない組み合わせは、去年と全く変わらない。
「うわ、最悪……」
聞こえるか聞こえないかくらいの声量で、隣が呟く。この世のありとあらゆる不機嫌を一纏めにしたと言っても過言ではないこの顔を見たら、彼に好意を寄せている女の子達は一体どんな反応を示すのだろう。
当の本人はそれには気付かずーーいや、気付いている上で無視しているのかもしれないが、ノーリアクションで先程自分が入ってきた扉に視線を移した。
「早速だけど、これから転入生を紹介する。入っていいぞー」
「は、はいっ」
随分遠慮がちな音を立てて、再び扉が開く。
イマイチやる気の感じられない挨拶とは裏腹に、黒板に書かれた名前は習字のお手本みたいに整っている。人工的な茶髪と黒縁眼鏡に白衣という真面目なのか不真面目なのかよく分からない組み合わせは、去年と全く変わらない。
「うわ、最悪……」
聞こえるか聞こえないかくらいの声量で、隣が呟く。この世のありとあらゆる不機嫌を一纏めにしたと言っても過言ではないこの顔を見たら、彼に好意を寄せている女の子達は一体どんな反応を示すのだろう。
当の本人はそれには気付かずーーいや、気付いている上で無視しているのかもしれないが、ノーリアクションで先程自分が入ってきた扉に視線を移した。
「早速だけど、これから転入生を紹介する。入っていいぞー」
「は、はいっ」
随分遠慮がちな音を立てて、再び扉が開く。

