「湊、君?」
「何してるの、こんなところで」
部活終わりなのだろう。通学用の鞄とは別に、ミントブルーのスポーツバッグを背負っている。そういえば、彼も律樹君と同じバスケ部だと言っていた。
このまま通り過ぎるかと思いきや、意外にも立ち止まる気配を見せたので、驚いてつい瞬きを繰り返してしまった。
てっきり私は湊君に嫌われていると思っていたし、きっとそれは勘違いではなく事実で、最近はそこまで邪険に扱われることは無いけれど、積極的に関わってくるような態度は見られなかった。
どういう風の吹き回し? と頭に疑問符を浮かべるよりも先に、彼の視線が私の手元へ移動する。
「それ……、渡さなかったんだ」
予想もしなかった言葉に、肩が跳ねる。
「何で、知って……」
「涙衣と一緒に居たでしょう。たまたま見えた」
「……そっか」
〝渡さなかった〟んじゃなくて、〝渡せなかった〟んだ。
そう思った途端に、感情の波を抑えるダムにヒビが入り、普段なら口にするのも躊躇うような言葉がぽつりぽつりと声になる。
「何してるの、こんなところで」
部活終わりなのだろう。通学用の鞄とは別に、ミントブルーのスポーツバッグを背負っている。そういえば、彼も律樹君と同じバスケ部だと言っていた。
このまま通り過ぎるかと思いきや、意外にも立ち止まる気配を見せたので、驚いてつい瞬きを繰り返してしまった。
てっきり私は湊君に嫌われていると思っていたし、きっとそれは勘違いではなく事実で、最近はそこまで邪険に扱われることは無いけれど、積極的に関わってくるような態度は見られなかった。
どういう風の吹き回し? と頭に疑問符を浮かべるよりも先に、彼の視線が私の手元へ移動する。
「それ……、渡さなかったんだ」
予想もしなかった言葉に、肩が跳ねる。
「何で、知って……」
「涙衣と一緒に居たでしょう。たまたま見えた」
「……そっか」
〝渡さなかった〟んじゃなくて、〝渡せなかった〟んだ。
そう思った途端に、感情の波を抑えるダムにヒビが入り、普段なら口にするのも躊躇うような言葉がぽつりぽつりと声になる。

