私の友達は、とても素敵な人だ。
胸の上辺りまでの長さの、少し癖のある艶やかな黒髪に、透き通った白い肌。
怜悧に整った顔立ちは鋭さを帯びた切れ長の双眸も相まって、人によってはきつい印象を抱いてしまうかもしれないけれど、話してみると面倒見のいい姉御肌で、男女共に人気が高い。その証拠に、転入生の私にも優しく接してくれる。
清廉な雰囲気を見に纏った、背筋を凛と伸ばした女の子。
私もあれぐらい素敵だったら、好きな人に振り向いて貰えるのかな。なんて考えてしまう私とは、本当に似ても似つかない。
「はぁ……」
誰も居ない河川敷。肺に溜まっていた空気を全て吐き出すと、ほんの少しだけ冷静さを取り戻した。
手元には、渡せなかったパウンドケーキ。ひらひらと涼風に靡くリボンが、余計に虚しさを助長させる。
あの後、律樹君と二人きりになって、ありったけの勇気をかき集め、背中に隠していた差し入れを渡そうとしたけれど、結局渡せず、一人背を向けて逃げてしまった。
だって、勝ち目なんてないと思ったから。
律樹君を取り囲む女の子達は皆可愛くて美人で、私なんかが太刀打ち出来る相手じゃない。こういう状況を人は、格の違いを見せつけられたというのだろう。
そもそも、好きになったのが間違いだったのだ。
いつもおどおどしていて自分に自信の無い、友達の背中に隠れてばかりの女の子なんて、たとえライバルが居なかったとしても、彼には到底釣り合わない。

