「はぁ、はぁっ……、ギリ間に合った……!」
やっとの思いで辿り着いた教室に飛び込み、指定された席に手をついて息を整える。
ここまで来るのは、本当に大変だった。
今日から高校二年生なのをすっかり忘れて前の教室に入ってしまい、「何でこいつ一年の教室に居るんだ?」的な目で見られたり、今度こそ自分の教室に向かおうとしたら新しいクラスを確認するのを忘れていることに気が付いたりと、まさに踏んだり蹴ったりだ。
あの短時間で、遅刻しなかった私を誰か褒めてほしい。
「おはよう。遅刻常習犯さん」
腹が立つ程透き通ったボーイアルトの声色が、小馬鹿にしたように不名誉なあだ名を口にする。
目線を少しずらして声の主を睨み付けると、彼はにやにやと意地悪く笑っていた。
「そのあだ名やめろって。大体、湊だって似たようなもんでしょうが」
こいつだって、バスケ部の朝練がある日以外は、ほぼ毎日チャイム後に登校している癖に。
「つかお前、髪跳ねてるぞ。どんだけ急いで来たんだよ」
幼馴染に対する不満を顔に表しながら座る私に、前方から呆れ声が飛ぶ。
そちらを見ると、律樹が私の頭を指差しで笑っていた。
やっとの思いで辿り着いた教室に飛び込み、指定された席に手をついて息を整える。
ここまで来るのは、本当に大変だった。
今日から高校二年生なのをすっかり忘れて前の教室に入ってしまい、「何でこいつ一年の教室に居るんだ?」的な目で見られたり、今度こそ自分の教室に向かおうとしたら新しいクラスを確認するのを忘れていることに気が付いたりと、まさに踏んだり蹴ったりだ。
あの短時間で、遅刻しなかった私を誰か褒めてほしい。
「おはよう。遅刻常習犯さん」
腹が立つ程透き通ったボーイアルトの声色が、小馬鹿にしたように不名誉なあだ名を口にする。
目線を少しずらして声の主を睨み付けると、彼はにやにやと意地悪く笑っていた。
「そのあだ名やめろって。大体、湊だって似たようなもんでしょうが」
こいつだって、バスケ部の朝練がある日以外は、ほぼ毎日チャイム後に登校している癖に。
「つかお前、髪跳ねてるぞ。どんだけ急いで来たんだよ」
幼馴染に対する不満を顔に表しながら座る私に、前方から呆れ声が飛ぶ。
そちらを見ると、律樹が私の頭を指差しで笑っていた。

