涙色に「またね」を乗せて

暗闇と、消えかかった赤いランプ。


腕がもげた医者に血濡れの殺人鬼、頭に釘が貫通したゾンビ男が悍ましい呻き声を上げながらこちらへと手を伸ばす。足元には刃物で滅多刺しにされた死骸。

ベタでハイクオリティなこれら全ては、私を恐怖のどん底へと突き落とすには充分だった。




「死ぬかと思った……」



久方振りの陽射しを浴びながら、げっそりとした顔で呟く。



「お前の所為で俺怖がるの忘れたわ」


「スタッフの方がびっくりしてたよね」


「まさかここまで苦手だったなんて……」



後ろの三人か好き勝手に行っているが、それに構っている暇は無い。そんなことよりも私は、全身全霊で太陽の恵みを享受したい。


やっぱり人間にはお日様が無いと。あんな血みどろの暗闇じゃなく。だってそっちの方が、ずっと健全で健康的じゃないか。



漆黒の代わりに太陽が、死体の代わりに風船が。


嗚呼。この世界は、なんて素晴らしいのだろう。