涙色に「またね」を乗せて

「じゃあ、どれ乗ろっか!」



私服姿の穂花ちゃんが、うきうきと弾んだ声で遊園地のマップを広げる。その左右を取り囲んだ男子二人が、最初はやっぱりジェットコースターだの、何でもいいけどお化け屋敷は絶対外せないだのと好き勝手に喋っている。


まあそれは割といつものことなので、一旦何処かに置いておこう。


そんなことより、穂花ちゃんの私服が可愛い。


柔らかな素材のトップスに、柔らかなシフォンプリーツスカート。絹糸のような黒髪は緩く巻かれたハーフアップになっていて、淡いピンクのイヤリングが、春風にそよそよと揺れていた。軽くメイクもしているのか、ただでさえ整った顔が更に華やいで見える。


彼女の服装に点数をつけるとしたら、百点満点確定だ。いや、百点なんかじゃ足りやしない。最低でも三百点は必要だ。



「涙衣ちゃん! ジェットコースター乗りに行こう!」


いつもよりハイテンションな声にハッと我に返る。


慌てて駆け寄り、四人でジェットコースターの列に並ぶ。隣で列が進むのを待っている穂花ちゃんの髪からは、初恋を想わせるさくらんぼの甘酸っぱい匂いがした。

どれくらい並んでいただろうか。自分達の番になり、男女で前後に分かれて座ってから安全レバーを降ろす。スタッフの人が全員分のレバーを確認してから、行ってらっしゃいの声と共に動き始めた。

ゆっくりと上へ上へと昇っていくジェットコースター。他のアトラクションがどんどん小さくなっていき、人なんてもう豆粒に見える。

結構高いな。なんて思っていると、ガタンと大きな音がした。

それと同時に襲いかかる、ふわりとした浮遊感。急降下なんて言葉では到底言い表せないくらいの猛スピードで地面が近付き。そしてぐるんと回転した。


「きゃあああああああ!」


勢いのいい風を浴びながら楽しそうに叫ぶ穂花ちゃんに釣られて、私も思いっきり叫んだ。