涙色に「またね」を乗せて

寂しい気持ちが嘘みたいに、胸がきゅんと甘く軋む。即答してくれたことが、思いの外嬉しかった。


「そっかぁ。そうだよねぇ」


何がおかしいのと、むっとしたように湊が言う。構わずにクスクスと笑い続け、笑いの波が引いてからひょいと立ち上がった。

トートバッグを手繰り寄せ、カレンダーを引っ張り出す。

そしてまたベッドに戻る。湊が身体を起こしていたので、向かい合うような形で上に上がり込んだ。



「私、来年には戻ってくるから」


宝石のような瞳が驚愕に見開かれる。透き通った濁りのない碧に、めいっぱい私が映り込んだ。


「大学はこっち受けるつもりだったし、元々転校したくなかったからね。向こうの学校を卒業したら、その日のうちに飛んで帰る」



相当なハードスケジュールになるだろうけど、きっと来年の私は本当にその日のうちに飛行機に飛び乗ってしまうだろう。


「ほんの一年。あっという間。だけど、いざ離れてみると、やっぱり長いんだろうね」

だからね。小さく続けながら、カレンダーを手渡した。



「これ捲って、私が帰ってくるのを待ってて」



世界にたった一つだけの、想いを込めた贈り物。



「これを全部捲り終わる頃に、ちゃんと湊のところに帰るから。たったの十二回。そう考えると、案外大したことないでしょ?」




口にして、なんてあっけないのだろうと少しだけ呆れた。たった一年離れるだけでこんなにも悩んで。今までずっと一緒に居た反動だろうか。