涙色に「またね」を乗せて

「ねぇ、ちょっと自分語りしてもいい?」


唐突にこう言い出したのは、この沈黙に飽きたからなのか、気が付けば口から零れていた。まるで、そうするのが自然の摂理であるとでもいうように。


彼女は何も言わなかった。何も言わずに、肯定の意を示していた。



「私ね、転校の話を聞いた時、真っ先に湊のことを心配した」



話しながらだと、筆を進めるのが遅くなる。本当なら雑談に時間を割いている余裕は無いのだけど、どうしても誰かに聞いて欲しかった。



「また昔に戻っちゃうんじゃないかって。全部を拒絶して、自分の殻に閉じ込もってしまうんじゃないかって。ずっとそんなことばかり考えてた」




でも、実際は予想とは全然違っていて。




「だけど湊は案外平気そうで、逆にこっちが拍子抜けっていうか。まぁ、平気なら平気でいいんだけど、何か納得いかなくて、何でかなぁってずっと考えてたの。それが、やっと分かった」


それをまさか、律樹に教えられるだなんてと、自嘲気味に笑みを零す。