涙色に「またね」を乗せて

「元気出せよも何も、私は元々元気だよ。つかあんた、何がしたいの? 野次馬根性? 暇人なの?」


「ちげーよ。……けど、最近湊とギクシャクしてるみたいだったから、大丈夫かなって」




ほわぁ。




思わず変な声が出た。そしてその変な声のまま、私は言った。



「律樹、実はいい奴だったんだね……!」


「どういう意味だコラッ!」


間髪入れずに鋭いツッコミ。うん、こっちの方がさっきよりずっとやりやすい。


「いやでも、言う程じゃないよ? 今日だって普通に会話したし。湊もいつも通りだったけど」

「でもお前ら、ろくに目も合わせてなかっただろ」

「……気の所為じゃない?」


取り繕った笑みの中で、初めてそのことに気が付いた。最後にあの碧を直視したのはいつだろう。思い出せない。何気ない会話の節々て、彼の瞳がどんな感情に彩られていたのかを、私は知らない。



「……ま、俺が詮索することでもないか」



今更かよ。という言葉はぐっと飲み込んで隠す。


湊のそれとは色も形も違う栗色の視線が、私を射抜いた。





「何でもいいけど、これだけは言っとく。今回の転校で一番傷付いているのは湊じゃない。涙衣、お前だ」